「調和」が取れた「配色」のPOPとは -「色彩心理学」に学ぶ-


■配色/色彩調和

配色とは、色を組み合わせて新たな効果を生み出すことを言う。そのために、対象物の用途・機能などを満足させる配色になるよう計画を立てなくてはならない。 機能的な面だけでなく、美的に色彩調和した配色を施すことによって目的は達成されます。 機能的であること、美的であることが配色を考える上で最も重要な要素といえる。

配色を考える場合の基本形式について、フランスの化学者シュブルールは「①ごく近い色同士は調和する②対立する色同士は調和する」と述べている。端的に言うと「統一」 か「変化」のどちらかを狙っていくことになります。これから出てくる配色はほとんどこの考え方に基づいているのでしっかりと覚えておきましょう。

■類似の調和

類似の調和とは共通性の調和ともいい、色相が似ていたり、トーンが似ている色を組み合わせたときに調和することを言う。 これは主に統一感を出すときに使う色彩調和の考え方である。

■対照の調和

対照の調和とは明瞭性の調和ともいい、色相が対照的であったり、トーンが対照的な組み合わせのときに色彩調和することを言う。 これは主に変化を出すときに使う色彩調和の考え方である。

■色の温度感

色が私たちに働きかけてさまざまな感情を誘発することは良く知られている。「暖色系」の色は「暖かさ」を、「寒色系」の色は「冷たい」という感情を起こさせる。一般には高彩度の色ほどこうした感情は現れやすく、低彩度になるにつれて感情は現れにくくなるようである。

図の色相環を見て頂きたい。赤・橙あたりから黄にかけては「暖色系」の色が並んでいる。緑あたりから青紫あたりまでは「寒色系」の色が並んでいる。 暖かい・冷たいなどの感情のわからない一連の色があるが、この色を「中性色」という。暖色系の色は、彩度が高いと積極的な感じを受ける。一方、寒色系の色 では沈静的な 感じがする。

以上のことから、季節感はもちろん、その商品の特徴を表す色使いに留意して、POPを作成する必要があるといえる。

 

■色の与える影響

は、非常に目立ち、視覚誘導する時も認識しやすい色と言われています。「赤」の暖色効果は、インテリアに利用すれば季節感の演出だけでなく、実際の体感温度にも効果があります。ある実験では、同じ温度の青い部屋と赤い部屋に入ったときの体感温度には、3度も差があったという。赤は購買色と言われ、カラーマーケティングでは赤を入れるかどうかで、売上が20%前後も違うといわれている。バーゲンやワゴンセールの広告や値札に赤が使われていることが多いのはこのため。

空や海の色でもあるは気持ちを静め、心を落ち着かせる色。青の心理的効果は「沈静色」「寒色(冷たさを感じる色)」「後退色」
自然界にはあまり青い食べ物がないため青色は食への興味を減らす。青色は集中力を高める効果あるといわれる。

色は、もっとも自然光に近い色。人に喜びや希望を与え、楽天的な考え方をもたらし、社交的で楽しい気分を生み出す。黄色い光は交感・副交感神経を刺激するから、注意を喚起しやすく、そのため道路工事や黄色信号などの注意サイレンによく使われる。黄色の光は、神経や皮膚、消化器系に影響を与える。あらゆる神経に作用し、消化を助け、胃を強くし、胃腸内のガスを排出する特質をもつ。

緑色は、緊張感を和らげ、目の疲れを和らげる。緑を見たり、手入れをすることによって緊張感がやわらぎ、心の癒しになることが実験で確かめられている。黄色と青の中間色の緑は、感情を抑制する理性的な要素をもっていると言われている。健康・自然・若さ・新鮮・有望・平静・平和・やすらぎ、などをイメージさせるため、エコや教育関連のサイトでよく使われている。

赤と青の色の幅からなる紫はその両方のエネルギーを秘めているといわれる。青の鎮静効果を赤のエネルギッシュなパワー、その両方の性質があるので感性を鋭くしインスピレーションを高めていくともいわれる。紫色のインテリアは、その空間にいる人の感受性を高め、情緒をゆたかにする働きがあり、さらに、自分の直感に頼って判断するようになること、より美しいものを自ずと選ぶ心理作用がある。紫は体の回復機能を高める作用があるため、病気や疲労感の回復をはかろうとして本能的に紫に惹かれることがあ。

どんな色でも、色彩心理学的に良い面と悪い面の影響を与えるものであるが、ピンクに関して言えば、マイナスの面が少ないというのが特徴。ピンクは女性ホルモンなどの分泌を促す色とされ、多くの女性にとって永遠のテーマである美と若さをつかさどる色。穏やかなピンクは筋肉の緊張、弛緩を数値として表したライト・トーナス値が最も低い色とされており、交感神経に働きかけ脳を活性化したり、血行を良くしたりする効果があると言われている。喜びや幸福感を感じさせる色。ポジティブなイメージが強く、いろんなシーンで使いやすい色といえるが、多用しすぎるとしつこさが増す。

オレンジ色などの暖色は膨張色といって、大きくみせたり、体型でいうと太って見えたりする色。しかしオレンジ色は、暖色系の中でもとくにやわらかく、ぬくもりに満ちた色として扱われている。それは、炎の色、太陽の色などを見ても分かるように、人間の潜在意識の中おいて、無意識に暖かい色としての認識があるのであろう。

白は、すべての光を返してくれる色で、すべての色を含む「光そのもの」とも形容できる。白はピュアなイメージがあり、ゼロではなく、いろんな思いや感情を含んだ色で、どこにも偏りのない無限の色ともいえる。呼吸器系に作用し呼吸を楽にする効果があるといわれ。すっきりして張りのある感覚も得られる。そもそも病院に白が多く使われていたのは、清潔感とともに、この作用を暗黙のうちに取り入れていたからなのかもしれない。

黒は他の色を吸収する性質があるのでどんな色ともマッチする。そんな中でも黄色や赤色といった明るい色は組み合わせたときに目立つ色となり使われる頻度が高いカラースキームとなっている。エネルギーを低下させ、絶望感を抱かせる色です。長時間、黒一色の空間に人間を置くと諸臓器器官の活動が著しく低下するともいわれている。